カテゴリー別アーカイブ: コーヒーのある風景

2019年ブラジル買い付け出張レポートvol.2

徹底したトレーサビリティ管理

 

BSCAの認証を受けている農園が実施するトレーサビリティ情報

 

モンテアレグレでは、というよりはBSCAの認証を受けている農園は、育成・収穫(育成に関わる全ての記録、収穫時の作業者名と収穫した区画や日時)から処理場に持ち込んだ作業者名と日時、処理プロセスの全て、乾燥プロセスの全て、木製サイロでの保管状態、ドライミルでの選別など、全ての工程において細かな情報を記載し記録として残しています。製品が出来上がった後にカッピングで品質チェックをしもし品質に問題があった場合、どこがおかしかったのかをチェックできる事で、品質向上にも役立ちますし、もし万が一消費国で何かあったとしてもこの記録をさかのぼり情報を出せるようになっています。

 

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BSCAのトレーサビリティ管理は世界で一番徹底しています。それが品質への裏づけとなっています。

 

 

 

2019年ブラジル買い付け出張レポートvol.1

Fazenda MonteAlegre

雄大な自然と最新の農業技術の融合

2019年6月22日~ブラジルのミナスジェライス州モンテベロ・コンセイサドスオウロス・アルフェナスなど複数の町に股がって点在すブラジルを代表する大農園「ファゼンダ・モンテアレグレ」

名前の由来は「山に蛇がいなくて憂いしい」と何とものんびりと牧歌的なイメージですが、昔は今のように解毒剤や血清が無い為、蛇にかまれて亡くなる方もいたほど蛇は恐れられていたという背景があるようです。

 

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複数のセクターを有する大農園

ファゼンダ・モンテアレグレの最大の武器は、広大な収穫エリアと最先端の農業技術を取り入れながら進化し続け、高品質コーヒーを経済的に生産できるところです。

 

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社長のジュゼ・フランシスコさんはBSCAの会長を務めた経験もある方で、早くからスペシャルティコーヒーの産業にシフトした1人です。大学の研究機関に社員を派遣し常に新しい技術をアップデートしています。

 

今期の新たな取り組み

発酵プロセスに新たなムーブメントが最近登場しました。

ワインの発酵プロセスなどからインスピレーションを受けた発酵技術をコーヒーに転用したものです。カーボニックマセレーションやアナエロビックファーメンテーションとも呼ばれコーヒーのフレーバーに際立つ特徴を出すという事を前提とした発酵技術です。

一部では高価な価格で取引が始まっていますが、いまだコーヒーにとって有意なものか解明されていない為、実験テストの段階の物です。

 

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試験段階ですのでこちらではビニール袋やステンレス製の醗酵槽を使用し、オレンジシュースやパッションフルーツジュースなどをいれ発酵させたものなどを乾燥させていました。派しているチェリーの香りは、普通に干しているものより香りが弱いように感じましたが、問題はローストしてカッピングしてみないと分かりません。

今後、地球規模の気候変動により特有のテロアールが破壊され、本来出るべきフレーバーが出なくなったときにこういった技術が必要になる日が来るかも知れません。しかしコーヒーにとって有効かどうかは解明されていないため未知数です。今後の研究に目が離せません。

 

 

 

カップオブエクセレンス コロンビアNorth2019落札致しました!

2019 5月22日の深夜に開催されたカップオブエクセレンス コロンビアNorth2019のオークションにてコロンビア La Estella Geisha Honeyを落札致しました。

コロンビアのゲイシャです。

ゲイシャは品種ではないので、全てがカップクォリティが良い訳ではないので見極めが大事となります。事前のカッピングでかなり良い点数でしたので落札でき大変良かったです。

今回のコロンビアは弊社社員が国際審査委員として参画していました。コロンビアという国の特異な自然環境と気候風土の中で育まれた特別なコーヒーを是非、お楽しみ下さい。

 

 

2019カップオブエクセレンス コロンビアレポートVol.2

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COEの焙煎度合い。

コンペティションのカッピングに使用されるサンプルの焙煎度は、国内の選ばれた焙煎担当者とACEから選出したヘッドジャッジが予めカッピングして、最も特徴が出るポイントを選んでいます。カラーで見ると微妙に違いが有ります。事前にカラーチェックをする事で、深いからとか浅いということでスコアがぶれないように意識をフラットにします。

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ドライとクラストも非常に大事です。香りの中からクリーンカップや酸の特徴などを探る事が出来ます。Qグレーダーのカッピングと違い加点はありませんが、お客さまが最初に香りをとるのはフレグランス(ドライの香り)とアロマ(お湯を注いだときの香気成分)ですので真剣にチェックします。

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欧米のカッパーが早々ジャッジを終える中、時間ぎりぎりまでジャッジしています。

コーヒーサンプルによっては、温度の変化によってかなり変化するものがあります。欧米のカッパーで熱いときの評価だけで終えていく人を見かけますが、原料豆のポテンシャルは、冷めたときにはっきりと出てきます。

フレーバーは熱いときに感じやすいですが、冷めたときに出てくる香りもあります。また、熱いときには気にならなかったClean CupやAfter Tasteも冷めてくるにつれ品質の良し悪しから、差が出てきます。

欧米のカッパーは普段お店で提供しているコーヒーがエスプレッソ主体だと冷めたときの味はあまり気にしないのかも知れません。しかし日本の場合ドリップで提供されるお店が多くあり、コーヒーは時間をかけて飲みますので、冷めたときの印象も評価の対象に入れないと、飲み終わった後の印象が悪くなる可能性があります。スペシャルティコーヒーは、また飲みたくなるコーヒーでなければならないのであれば、冷めた最後のほうも美味しくなくてはなりません。

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今回のトップ10の中にゲイシャが5ロットも入っていました。

しかも10ロット中9ロットがプレジデンシャルアワード(90点以上のスコア)になりました。かなり凄い事です。

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今年1位に輝いた生産者。

1位はゲイシャのナチュラル。8位にゲイシャ・ハニーのアナエロビックファーメンテーションが入賞。

今生産国では気候変動の影響を受け、チェリーの成熟期に旱魃になったり、高温が続いたりとフレーバーの構築に悪影響が出ている深刻な状況となっています。その為生産者も少しでも高く売れる、特徴のあるコーヒーを作ろうと、ゲイシャを植えたり、カーボニックマセレーションをはじめとする変わった発酵技術を採用したりと生産現場自体が大きく変わろうとしています。スペシャルティコーヒーは新たな時代へと動き始めました。今後が楽しみです。

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2019カップオブエクセレンス コロンビアレポートVol.1

2019 カップオブエクセレンス コロンビア国際審査会

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2019年3月26日~29日に、コロンビアの首都ボゴタから飛行機で西へ1時間ほどのところにある、キンディオ県アルメニアでカップオブエクセレンス2019コロンビアN国際審査会が開催されました。コロンビアはボゴタをはじめ都会は犯罪などが多く1人での外出はなるべく避けたほうが良いといわれていたのですが、開催地のアルメニアは非常に穏やかで安全な町でした。アルメニアはコーヒー生産地の中でも最も重要な地区の一つです。

 

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ブラジルとはまた違うコロンビアの大自然と地方都市アルメニアの町。

 

1:カリブレーション

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ヘッドジャッジのポール・ソンガーさん。

この方のプレゼンテーションは内容があっていつも興味深いです。今回もカッピングシートの使い方とそれぞれの項目の意味や評価のポイントを説明してくれました。

特に酸味の質に関しては分かりやすい解説をしてくれます。

 

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薬品を水で薄め人口的に酸味のサンプルを作りテスト

 

カリブレーションで酸味の質を見る為に、薬品を水で薄めて酸にフォーカスしたテストをしました。

今まではFully Washedの特徴の酸味だけでしたが、今回はNaturalの酸味の特徴を模した液体もサンプルとして出ており、最近中南米で色々なファーメンテーションに対応するべくカッピングのカリブレーションも進化していました。

 

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コップを使用したカッピングボール。そこが深く口が狭いため液体の温度冷めにくくかなり熱い。ブレイクも攪拌しづらい。

 

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WashedのロットとNatural、アナエロビックを含む他のファ-メンテーションのロットをわけて、カッピングテスト。それぞれ品質が異なり、ハイコマーシャルレベル、ロースペシャルティレベル、COE入賞レベル、プレジデンシャルスレベルと混ざっています。

カッパーの尺度の調整になります。カリブレーションのカッピングには同じロットが混ざっているという引っ掛け問題がありますが、拡販や抽出時間で微妙に違いが出たりするので、引っかかります。

 

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コロンビアのNaturalやGeisha,アナエロビックが流行っているため、今回のコンペティションでも出品されていました。

 

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フレーバーは強いですが、酸味の質が怪しいものがある為、オークションの落札時には注意が必要なのと、トップ10に入っていなくても素晴らしいコーヒーが隠れている可能性が高い気がしました。という事で、今回のコンペティションは酸味の質に注意してカッピングしてきました。

 

 

 

 

 

 

 

スペシャルティコーヒー|インド買い付けレポートVol.3

生産者との新たな取り組み

今回の目的は2つありました。一つは良いロットのコーヒーをその場で選び決める事。(昨今、スペシャルティコーヒーは世界中のバイヤー同士の奪い合いとなっているためインドに限らず、世界中の生産国の現地で決めていかないとなかなか良いロットが手に入らなくなってきました。ここインドではオーストラリア、イタリアなどのヨーロッパ諸国、韓国、日本とわれ先と良いものを選びに来ています。)2つ目は、今回はじめての取り組みとなるエクスプリメンタルテスト(品質向上策を試みる実験)を行うことです。

 

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収穫したチェリーをグレンプロの中に何日か放置したものをカップテストをしながら検証していく。

 

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出来上がったサンプルを持ち帰りカッピングによる検証と生産者へのフィードバックを行い来年につなげます。たとえ出来上がったコーヒーが良くても3ヶ月、6ヶ月、1年と時間経過による品質の劣化を検証していかなければなりません。来年以降、検証結果がよければトーアコーヒーも買い付けることになります。

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今年から始めた黒糖を使用した発酵プロセス。(まずはロブスタを使用しているが、来年以降アラビカでもテストしていくとの事)

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醗酵槽の中の水温を保つために黒いシートかぶせている。朝晩は水温が冷え、発酵反応が止まってしまう為、それを防ぐの施策。ロブスタは36時間、アラビカは18時間発酵させる。時間は目安な為、Ph計を使い酸度のチェックを行い数値で決める。なぜ、ここでは黒糖を入れているかというとロブスタは元来アラビカ種より甘さが劣っているためそれを補うのだという。(まだ試験段階)

コーヒーは今、地球規模の気候変動により、その土地特有のテロアールが出ずらくなっています。そのため生産者がフレーバーを出そうと試行錯誤を行っています。特に最近では発酵プロセスに注目が注がれあらゆる技術が使われています。特にワイン製造からヒントを得た嫌気性のバクテリアを使った方法が昨今注目されています。そのほかにワイン、オレンジジュース、シナモンなどを直接醗酵槽に入れる方法など、まだまだ研究段階の技術もありますが、良いか悪いか別として1円でも高く売ろうと生産者は努力しています。2年産地にいかなければ全く現場が変わっているということもあるので、産地に足を運ぶ事の意義を知りました。

 

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FOODEX2019 報告

3月5日(火)~8日(金)の4日間、海浜幕張にある幕張メッセにてFOODEX JAPANのイベントにブラジル大使館の依頼を受け参画してまいりました。

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私たちトーアコーヒーは2012年以来駐日ブラジル大使館のパートナーとしてブラジルのスペシャルティーコーヒーのプロモーションを行っております。

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今回のFOODEXにご来場頂いたお客様は4日間で延べ8万人の方にお越しいただきました。

その会場でブラジルのスペシャルティコーヒーを試飲していただき、美味しさに驚いていただいたり、今までのブラジルコーヒーの苦くてフラットで砂糖たっぷり?的なイメージを払拭出来たんじゃないかなぁと思います。

 

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今回はブラジルのカルモデミナスの素晴らしい農園、Sitio da Torreと、ブラジルをメインとしたブレンドコーヒーをフレンチプレスで抽出しました。

 

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※写真左が新たに就任するブラジル大使。

 

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かなりの評価をいただけた今回のプロモーションが、今後のブラジルコーヒーの消費の増加にささやかながら貢献できていれば幸いです。

 

https://foodex-japan.jp/ja/navi/product/search?exhibitor_id=3488

スペシャルティコーヒー|インド買い付けレポートVol.2

サスティなビリティな関係

コーヒー生産者の社会保障

 

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インドはそれぞれの州により社会保障制度が異なるそうで、こちらの雇用体勢がインドの全てに当てはまりませんが、SCEは労働者の社会保障にも力を入れている会社で賃金も含め条件は良い方です。。特筆すべき点は、常雇いの方は住宅は無償、医療費無料、日本の年金に当たる保障はSCEが半分負担、託児所も完備となっています。

 

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農園内にある病院。こちらで無料で医療を受ける事が出来ます。

農場の基礎となる土作りと苗床

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有機の土壌作りをしている場所。

 

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こちらではミミズを飼育しています。ミミズのおしっこはコーヒー栽培には欠かせない有機のちっ素肥料です。この土とチェリーの皮の部分を発酵させたものと腐葉土を合わせオーガニック肥料として使用します。

 

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苗床。この農場では自分達で苗も育てます。

 

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チャンドラギリ。月の丘と訳します。この農場のメインの品種です。一般的にはサルチモールという名前の品種として知られていますが、インドではチャンドラギリという名前で呼ばれています。

続く。

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スペシャルティコーヒー インド買い付けレポートVol.1

インド「Karadykan/Gangagiri/Attikan」

Natural & Washed COFFEE 買付け。

 

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1月27日からインド南西部に位置するカルナータカ州のチクマガグールに3つの農園を所有するSANGAMESHWAR COFFEE ESTATES(以後SCE)に行ってきました。

北緯13°に位置し標高は約900m~1300mの高原です。その為昼夜の寒暖の差があり朝晩は肌寒いくらいでした。低地のエリアではロブスタが栽培されていて、標高の高いところでアラビカ種が栽培されています。今は収穫時期のため乾季ですが、6月から8月にかけ雨季となります。昨年の雨季に豪雨があった為、収穫の時期も短くなり、収穫量も落ちたといっていました。

 

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ピッカー(収穫作業者)たちの朝。

 

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朝7:30にその日の作業者達の点呼を行います。(SCEでは常雇いと繁忙期だけの雇用と2つのグループに分けて点呼を採っています。)

 

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服装がばらばらなのは臨時雇い、青い布をつけているのが常雇いです。労働時間は1日8時間30分のお昼休憩があり残業も強制ではありませんがあります。賃金は317ルピ/1day(8h)(日本円にすると今のレートで、485円)残業は2倍増しでもらえるそうです。1日8時間の作業ノルマはアラビカ種で55kg/dayロブスタ種で70kg/dayです。30kgに満たない場合はギャラが半分になります。なぜロブスタ種とアラビカ種でノルマが違うかというと、地形的に低地(ロブスタ栽培エリア)はフラットに近く、高地(アラビカ種の栽培エリア)は傾斜がきついという作業的なものと、品種の差で基本的にアラビカ種よりもロブスタ種のほうが1本の木になる実の数が多い(例外もあります。)からです。日中は収穫、夕方は集荷したチェリーを水洗処理場に併設している乾燥場(パティオ)での作業があります。

 

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続く。

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2019コーヒーサミットレポート

先週末に行われた、東日本コーヒー商工組合主催の「コーヒーサミット2019」にトーアコーヒーも参画してきました。

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当日は寒い中、入場制限がかかり大変多くの方にお待ちいただいてしまいました。

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トーアコーヒーは、カップオブエクセレンスの1位(エルサルバドル パカマラ ハニー)2位(グァテマラ・ゲイシャ)3位(ニカラグア パカマラ )を反則技で無料試飲を行ったほか、キングアーサーブレンドと新発売のトーアコレクションを試飲アピールいたしました。

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お陰様で、皆様から大変評価していただきました。

あまりの忙しさに途中試飲を切らしてしまったり、充分な説明が出来なかったりと反省点は多々ありましたが、皆様の「美味しい」の一言が何よりの成果でした。

次回のイベントにも参加を予定しておりますので、スケジュールが決まりましたらお知らせ致します。

ご来場頂いた皆様に感謝申し上げます。有難うございました。