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2020.11.6

エルサルバドル/モンテシオンの社会貢献事業への取り組み(前編)

コーヒーのある風景

トーアコーヒーがコーヒーを通じて行っている持続可能な社会発展プロジェクトの一つにエルサルバドル「モンテシオンコーヒー」(以下モンテシオン)とのかかわりがあります。

こちらの農園とは、15年近くのお付き合いがあり、毎年素晴らしい品質のコーヒーを我々に届けてくれます。

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モンテシオンはコーヒーを生産するだけでは無く、そこに従事する労働者の労働環境の改善をはじめ自然環境の維持保全など多岐にわたりサスティナブルな生産活動を主軸とした社会貢献プロジェクトを推進している農園です。

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なぜ、モンテシオンがサステナブルな生産を推進するかというと、それにはエルサルバドルの現状が大きく影響をしているからです。

 

エルサルバドルをはじめ中米の歴史は内戦の歴史でもあります。

1950 年から 80 年代まで、農産物の輸出増加によりは驚 異的な水準で経済を伸ばし続けた中米は好景気に沸いていました。その中でもコーヒーの輸出は外貨を得るための最も重要な農産物の一つでした。

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輸出の増加に伴い農地の拡大が進み、やがて土地の正式な法的権利を所有して いない貧しい農民は政府の武力行使により抵抗するすべもなくその土地を立ち退かされていきました。

 

コーヒーをはじめとする農産物の生産拡大は劣悪な賃金で季節によって雇用される土地 をもたない農民や零細農民からなる季節労働者の大規模な出現をもたらしました。その為、多くの農民は都市に移住するか、さらに条件の悪い土地に移動 するか、季節ごとにプランテーションを渡り歩き極貧生 活を送るかという選択を迫 られました。

 

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土地をめぐる紛争は過疎地に住む農民の組織化と武力化を促していきました。

政府軍が推し 進める強制的な土地の収奪に対抗するため、農民は武装グループを組織するようになり、その結果、都市でも農村でも伝統的な組織や共同体とは異質な社会組織が形成 されて行き、後のゲリラ活動の盤石となってしまいました。その結果、1970年代後半から1990年代前半まで長きに渡り内戦状態が続き、国民生活が疲弊していました。

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2000年代に入っても貧困からの脱却が出来ない農業作業者やその家族は、子供の世代まで影響し、まともな教育や医療を受けれない状態など社会インフラの整備が遅れており、劣悪な環境の中での生活を余儀なくされています。

 

モンテシオンコーヒーは自社で販売したコーヒーの利益を農場に従事する作業者とその家族に対し、社会インフラの整備や労働環境の改善、自然環境の維持保全など、多岐にわたり活動資金としています。

後半ではその活動をいくつかご紹介いたします。

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エルサルバドル/モンテシオン(中煎り)200g

エルサルバドル/モンテシオン(中煎り)100g

2020.1.24

2020年インド買い付け出張レポートVol.5

コーヒーのある風景

生産者との新たな取り組み。

気候変動により、その土地の気候風土から作り上げられるコーヒーフレーバーが失われつつある昨今、各生産国で様々なアイデアと新しい技術で個性的なフレーバーを作りだそうとする生産者が出てきています。

 

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※タンクの中にはコーヒーチェリーが入っています。二酸化炭素を注入し無酸素状態にし嫌気性のバクテリアによる発酵を行っている様子。

 

その中でも、今注目されている製法は、アナエロビックファーメンテーション・カーボニックマセレーション・グレンプロファーメンテーション・バクテリアファーメンテーションなど、コーヒー以外の様々な発酵技術を応用した製法です。

今回のインドの農場でも試作品としてグレンプロファーメンテーションで仕上げたマイクロロットを作っていただきました。

 

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グレンプロと呼ばれるグリーンビーンを入れる袋を使用(新品)

 

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試作品が入っている麻袋の山。

 

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麻袋から取り出した脱穀前のチェリー。

 

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おいしそうな香りがしていました。

カッピングが愉しみです。

 

昨年訪問した際に、テスト的に少量作っていただき、仕上げから8ヶ月後の品質チェックの結果をみて、良い感じでしたので今回は試作品として数十袋作っていただきました。

今年のお客様の反応がよければ、更なる増産を考えています。

入荷を楽しみにしていてください!

 

 

2020.1.24

2020年インド買い付け出張レポートVol.4

コーヒーのある風景

水流選別によるコーヒーチェリーの熟度選別機

 

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夕方、4時を過ぎると朝から収穫されたコーヒーチェリーが水洗処理場へと運ばれてきます。見た目は熟度もよくおいしそうです。

 

 

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写真右上から左下へとチェリーが流れて行きます。

右上のフェーズは木屑や葉っぱなどの雑居物を取り除きます。

中段は2層の水槽になっていて、チェリーの比重で過熟実と適正熟度の実を比重選別します。

 

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軽い実は浮いたまま同じラインを下っていきます。

重たい実は一回沈んで隣の槽に浮いてきます。

 

過熟実が製品に入ると酸味が汚れてしまい品質が落ちてしまう原因となってしまうのでしっかりと選別します。

 

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左下のフェーズは選別されたチェリーです。上が過熟実などのフローター。下が選別された合格品です。

買い付け価格を値切るとこの段階での選別がゆるくなり本来よけなければならないチェリーも入ってきます。

 

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選別されたチェリーはこの後水流の力で乾燥処理場(隣の敷地)に移動させます。

乾燥場に運ばれたチェリーは再度人の手によって選別され、乾燥温度に気をつけながらゆっくりと乾燥させます。

スペシャルティコーヒーとして仕上げるには、農場のテロアールと収穫者の摘み取るチェリーの熟度判断、摘み取ってから処理場に持ち込むまでの時間、処理場でのチェリーの選別、乾燥処理の適正な乾燥温度の管理とそれぞれの工程で様々な管理が必要となってきます。その一工程でも手を抜くと品質が落ちてしまいます。それだけの事をこなすには当然コストも過かk里増すし、選別により出来上がりの数量も少なくなります。

トーアコーヒーはしっかりと現場を見極め、適正な価格で生産者からコーヒーを買付けています。そうすることで生産者との信頼関係を築き、継続的に美味しいコーヒーを作ってもらえるのです。今年も美味しいコーヒーをお届けできそうです。

 

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